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解析事例−e4EXAMPLE-e4

無限幅線接触面圧解析結果(Salehizadeh and Saka)との比較

本事例では、無限幅線接触理論による接触面圧解析文献(*)と、有限幅解析であるTEHLACの接触面圧解析結果を比較します。比較に際して、下記仮定を設けます。
 (1)TEHLACは有限幅解析のため、ころ中央部での値と、無限幅解析結果とを比較する
 (2)本事例のような接触面圧の比較では、EHLとTEHLで、大差ないと仮定
    (比較する文献では、無限幅TEHL解析結果を実施しているが、面圧はEHL解析と同じと仮定)
 (3)TEHLAC解析ではエッジロードの発生によりエッジ部油膜厚さが負になる場合があるが、この影響は無視する

(*)無限幅線接触理論解析の文献
Salehizadeh, H. and Saka, N., "Thermal Non-Newtonian Elastohydrodynamic Lubrication of Rolling Line Contacts", Transaction of the ASME, Journal of Tribology, Vol.113 (1991), pp.481-491.

上記論文では、Hertz最大面圧PHを0.5, 1.0, 2.0[GPa]の3種類について計算していますが、ころの半径や荷重値、メッシュ分割数の記載がないため、下記物体を使用し、負荷荷重、メッシュ分割を以下のように設定しました。これ以外の入力値は、文献の値を使用しています。

  接触二物体:同じ形状の円筒ころ(半径24x長さ2.4, クラウニング無し、チャンファ無し)同士の接触
  計算領域 :X方向 -0.5mm〜0.2mm,  Y方向 -1.2mm〜1.2mm(ころ幅と同じ)
  物体速度 :両物体とも 10 [m/s](すべりなし)
  負荷荷重 :下記
        @ 0.5GPa時: 220 [N]
        A 1.0GPa時:1050 [N]
        B 2.0GPa時:4500 [N]

  粘度式 :Barusの粘度式(文献と同じ)
  密度式 :Dowson-Higginson密度式(文献と同じ)


  大気圧粘度(η0) :14.0・10-3[Pa・s]
  圧力-粘度係数(α):14.5・10-9[1/Pa]
  温度-粘度係数(γ):0.045[1/K]
  潤滑剤大気圧密度(ρ0):800 [kg/m3]
  圧力-密度係数(C1):0.6 [1/GPa]
  温度-密度係数(C2):1.7 [1/GPa]

  入口部温度(t0) :333 [k]

  メッシュ(x,y):下記
        @ 0.5GPa時: 141x25
        A 1.0GPa時: 116x25
        B 2.0GPa時 :109x25

上述のように、計算領域のY方向幅がころ幅と同じであり、潤滑剤のY方向流れは生じにくい設定になっていますが、ころ端部でエッジロードが発生します。

<解析結果>

(1)接触面圧
Salehizadehらの論文中のTEHL解析結果(Fig.4)を図(a)に、TEHLACのEHL解析結果を図(b)に示します。

 

 (a)Salehizadeh & Sakaの x方向接触面圧        (b)TEHLACの x方向接触面圧(Y=0)
               図1 接触面圧計算結果(文献とTEHLAC比較)

図(a),(b)ともPH=0.5GPaで発生した圧力スパイクが、PH=1.0GPaでは後部へ移動し、PH=2.0GPaでは、ほぼ消滅しており、面圧分布の形状は良く一致していると言えます。

なお、図(b)での負荷荷重は、上述の通りですが、図(a)の最大面圧に近い最大面圧が得られるように、荷重を調整しています。即ち、通常、荷重と最大面圧の関係はHertzの面圧計算式で求まりますが、本事例では、これに対してさらに調整作業が必要になります。この状況を以下に記します。

TEHLACでの負荷荷重の値を用いて、線接触として、Hertz最大面圧PHを計算すると、表1の値であり、図で表すと図2のようであり、値に差が生じています。

表1 TEHLAC計算でのHertz最大面圧計算結果
     
                                図2 TEHLAC計算でのHertz最大面圧計算結果

TEHLACでのHertz面圧計算値と、線接触時のHertz面圧に差が生じる原因は、TEHLACでは、軸方向の面圧分布も考慮していることに起因していると考えます。即ち、TEHLACでは、有限幅解析を行っているため、ころ端部に大きなエッジロードが発生しており、この部分で大きな負荷荷重を支持するため、TEHLACでは中央部で支持する荷重が減少し、ひいては中央部面圧がHertz計算値より減少してしまい、中央部面圧を面圧呼び値に合わせるという調整作業が必要になっています。このため、TEHLACでは、文献で負荷している荷重より大きな負荷荷重を加えなければならない、と推測します。

(補足)
無限幅解析では、エッジ部での面圧上昇や油膜減少を考慮できないため、エッジ部が負すきまになるという問題について、全く気に掛けずに、解析できますが、有限幅解析のTEHLAC結果では、エッジ部面圧上昇に伴うエッジ部でのすきま減少という問題があり、本事例では、エッジ部が負すきまになっています。負すきまになると、レイノルズ方程式が成立しませんので、解析としては使用できないことになりますが、上述の仮定(3)から、この影響は無視しています。ころ幅の中央部は浮上していますので、中央部については使用可能と判断しました。
このことは、「無限幅での解析では、エッジロードを考慮できないため、間違った判断をしてしまう」との結論になります。



参考までに3D接触面圧を下図に掲載します。(縦軸の目盛に注意)

  (a)PH=0.5GPa         (b)PH=1.0GPa        (c)PH=1.5GPa
                図3 3D面圧表示(TEHLAC計算結果)

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