線接触時のTEHL解析(カットクラウニングころ)(2)
本事例では、解析事例e3のモデルに対して、TEHL解析を実施し、EHL解析結果とTEHL解析結果を比較します。ただ、負荷荷重は2000N→1400Nに減少させ、メッシュも粗くして計算します。(本解析では形状定義にNOCPACを使用します)
接触二物体:カットクラウニング円筒ころ(φ12x12)とクラウニングなし円筒内輪(φ20x20)
物体速度 :両物体とも 10 [m/s]
負荷荷重 :1400 [N]
粘度式 :ROELANDSの粘度式
密度式 :Dowson-Higginson密度式
大気圧粘度(η0) :0.04 [Pa・s]
圧力-粘度係数(α) :2.2・10-8 [1/Pa]
温度-粘度係数(γ) :0.042 [1/k]
潤滑剤大気圧密度(ρ0):890 [kg/m3]
固体密度(ρs) :7850 [kg/m3]
熱膨張係数(β) :0.00065 [1/k]
潤滑剤比熱(cf) :2000 [J/kg・k]
固体比熱(cs) :470 [J/kg・k]
潤滑剤熱伝導率(kf):0.14 [w/m・k]
固体熱伝導率(ks) :46 [w/m・k]
圧力-密度係数(C1):0.58 [1/GPa]
温度-密度係数(C2):1.68 [1/GPa]
入口部温度(t0) :303 [k]
メッシュ(x,y,z) :41x81x9
本事例では、純転がり状態を取り扱います(下記)。
物体速度 :両物体とも 10 [m/s]
<解析結果>
(1)接触面圧
EHL接触面圧解析結果とTEHL接触面圧解析結果のグラフを以下に掲載します。

(a)X方向接触面圧(Y=0) (b)Y方向接触面圧(X=0)
図2 接触面圧計算結果(EHLとTEHL)
図(a)、図(b)とも、EHL,TEHLに大きな差はありませんでした。ただ、x方向の分割が粗いため、圧力スパイクをうまく表現できていません。
(2)油膜形状
上記のように、接触領域が直線部を超えて、クラウニング部へ、はみ出した時の、Y方向のEHL油膜形状とTEHL油膜形状のグラフを以下に掲載します。

(a)Y方向平均油膜形状(X=0)(EHLとTEHL) (b)Y方向油膜形状(X=0)(面圧併記)
図3 油膜形状
図(a)はY方向の油膜形状をEHLとTEHLを比較したものです。EHLの方が油膜厚さは厚くなっています。
図(b)は、TEHL解析でのY方向油膜形状に接触面圧Pを重ねて表示したものです。直線部の終端部で油膜がわずかに減少しており、かつ接触部の端部付近(Y=±4.8mm位置)でも若干油膜が減少しているように見えます。この傾向は、EHL解析の事例e3と同じです。
(3)平均温度(Tm)
平均温度Tmを接触面圧Pとともに、下図に示します。

(a)X方向平均温度分布(Y=0) (b)Y方向平均温度分布(X=0)
図4 平均温度(TEHL)
図(a)から、接触部での温度上昇は少ないことがわかります。これはすべりがないためで、事例t2でも確認されています。
図(b)から、温度上昇の最大位置は直線部とクラウニング部のつなぎ目(Y=4mm)ではなく、その少し外側になっていることがわかります。この現象は、X方向速度(U)やY方向速度(V)の最大値が、直線部とクラウニング部のつなぎ目(Y=4mm)の少し外側にあるため、この部位で発熱するためと考えられます(下図参照)。

(a)X方向速度分布(Y=0) (b)Y方向速度分布(Y=0)
図5 速度分布(Y=0)
本事例では、滑りがないため、接触領域以外での流体の流れによる温度上昇が大きくなっていますが、温度上昇の値は最大で7°程度であり、それほど大きいものではないと言えます。
参考までに、平均温度の分布を2つの角度で3D表示します。

(a)平均温度の3D表示(1) (b)平均温度の3D表示(2)
図5 平均温度分布(3D表示)
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